平成27年度、子ども子育て新システムが、動き始めました。子育てを巡る仕組みが、古い制度では、間に合わなくなったのです。
新しいシステムが、スムーズに運営されているのかというと、そうではありません。動きながら、手探りで、進めています。
新しいシステムに移行した園は、まだそれほど多くはありません。様子を見ている園もあります。しかしながら、平成30年度までには、新システムに移行する園が、急増することが予測されています。
それでも、全く移行を考えない園があります。移行しないのは、ほとんどが都市部の私立幼稚園です。人口を多く抱えた都市部は、新制度に移行する必要を感じていないようです。
しかしながら、田舎は異なります。人口減少が激しい地域は、園存続の危機に直面しています。特に私立幼稚園は、旧来の私学助成制度では、いつ廃園になってもおかしくない経営状態にあるのです。
さて、寺院に目を向けてみましょう。寺院も同じような状況にあるように思えます。長く寺院を支えてきたのが、檀家制度でした。しかし、すでに立ちゆかなくなってきたのは、ほとんどの人が感じているところです。それは、地方ほど顕著で有り、都市部の寺院は、ほとんど気にしていません。ですが、寺院も新たな制度を必要としています。人口減少は、すべての業種業態に影響を与えます。
寺院を支える新たな制度は、一体何なのでしょうか?多くの方が、ずっと手探りの状態で進めています。
様々な先駆的な御寺院が、取り組んできたことが、その答えですが、全ての寺院に行き渡る正解は、未だに見いだすことができていません。
ただ、現実は、明らかに変わってきています。
私は、平成16年に行った墓地改葬工事終了後、新たに永代供養墓を設けました。集合型の「瑠璃光墓」と期限付き墓石型の「ふたりだけの墓」です。地域に提供し始めて10年以上がたちました。そして、多くの方とのご縁が生まれました。
慈眼寺の昨年6月から今年の5月までに行った葬儀件数を調べました。すると旧来の檀家さんの葬儀件数は、なんと25%だったのです。残りの75%は、永代供養でご縁をいただいた方の葬儀でした。
これが、現実です。
すでに、檀家さんだけが、寺院経営を支えているのでは、ありません。
お寺とのつながるきっかけが、ない人たちは、いざという時に、葬儀の情報が多く集まっている所を尋ねます。まずは、葬儀屋さんでした。時代の流れと共に、情報が集まるところも変わり、今では、大手スーパーになり、ネット事業者にも集まるようになったのです。
また、お坊さんが複数で集まり、僧侶を派遣する会を運営もしています。
このような事業体とつながっている寺院の中には、複数の僧侶を抱え、葬儀を中心とした寺院運営をしています。
葬儀という視点だけを見れば、寺院を支えている状況は、明らかに変わったと言えます。
寺院は、もう、古い制度では、間に合わなくなっているのです。時代は、新しい制度を必要としています。しかしながら、何が正解なのか、まだ全く判りません。
「スポットライト」という映画を観ました。平成27年度アカデミー作品賞をとった映画です。
巨大組織カトリック教会に挑むジャーナリストの映画です。
あまりにも大きな存在に、いくつもの難関が立ちはだかり、チームの中には、諦めのムードが漂います。それでも、前に進むしかありません。前が見えなくなった取材チームに、局長が言います。
我々は、いつも真っ暗な道を歩いているようなものだ。
その道が、正しい道かは、明るくなるまで判らない。
だけど、歩き続けなければならないのだ。
今歩んでいる道が、正しいのか、間違っているのか、歩んでいる時は、判らないのです。ですが、止まっていたならば、暗闇のままです。判らなくても歩み続けることで、必ず光が当たります。そして、正しい道だったのか、誤った道だったのか、判るのです。
たとえ一人でも、光を求めて、サイの如く歩み続けるしかありません。